岡山県井原市芳井町に位置する天神山池は、明治時代に行われた耕地整理によって築かれた池です。池の山側には水神様とたぬきの神様を祀る祠が建てられています。
天神山池は1915年(大正4年)に施工され、2001年(平成9年)に改修が行われました。この池は、天神山に流れる大谷川と八体川が合流する静かな場所にあり、どこかのどかな雰囲気が漂っています。
かつては、この場所にたぬきの一家が幸せに暮らしていました。しかし、池の工事が始まると、たぬきたちは大変な騒ぎになりました。彼らの住んでいた家は水没し、生活が困難になってしまったため、彼らは山かげのほうへ避難せざるを得ませんでした。かつて住み慣れた場所が、突然の工事によって奪われてしまったことは、彼らにとって深い悲しみをもたらしました。
その後、工事を計画した偉い人たちが次々と病気にかかり、医者に診てもらっても回復しない状態が続きました。困り果てた人々は祈祷師に相談したところ、たぬきたちが悲しんでいることが原因だと告げられました。たぬきたちの悲しみを考えない限り、状況は好転しないというのです。
しかし、池がなければ安心して作物を育てることができないという人々の事情もありました。そこで、偉い人たちは話し合いの末、たぬきたちを祀る「たぬき神様」の祠を建てることに決定しました。
このエピソードは、「芳井の昔話第二集」とに掲載されており、その時から80年以上の歳月が経過したときでも、たぬきたちを祀る祠は大切に守られています。さらに、この話から約30年の歳月が流れた令和の時代に訪れてみると、たぬき神様を祀る祠が今もなおきちんと立ち並び、その持続的な尊重の姿勢に感嘆せずにはいられません。
天神山池
岡山県井原市芳井町天神山
沢岡・通峠バス停より徒歩31分
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