愛媛県新居浜市滝の宮町・県道136号線に地元で有名な狸・小女郎狸の石像が立っている。

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正法山 慈眼寺のひと際目立つ石柱の松の木の下にいる。

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小女郎狸の伝説

昔、立川の奥の小女郎谷に一匹の雌狸がいて夕方になると美しい娘に化けた。人々はその狸を小女郎狸と呼んでいた。小女郎狸は神通力を持っていたので、一宮神社の眷属として働いていて普段はおとなしく、神主のいうことをよく聞いていたので可愛がられていた。
ある夏に奉納された大好物だったタイを盗んで食べてしまった為、神主が怒り追放されてしまった。

困った小女郎狸は慈眼寺の和尚に化けて船で大阪へ向かった。何日もの船旅で腹が減っていた小女郎狸は船に乗っていたタイを盗んで食べてしまった。船頭に正体がばれてしまいせめてもの罪滅ぼしに茶釜に化けて古道具屋に高く買ってもらった。道具屋は茶釜を大切にしていたが、ある日縁側で茶釜を落としてしまった。庭に落ちたはずなのに茶釜は消えてなくなっていた。

小女郎狸は夜になるのを待って美しい娘に化けて庭から抜け出した。大阪の道頓堀、千日前を練り歩いたところ、道行く人々は小女郎狸の美しさに全員振り返るほどだった。

小女郎狸は行き先がなかったので友達がいるしのだの森を訪ねて、長くその森に住むことになった。

参考:伊予路の歴史と伝説・愛媛の伝説 合田正良


この「しのだの森」は大阪府和泉市葛の葉町にある信太森葛葉稲荷神社(しのだのもりくずのはいなりじんじゃ)のことだろうか。境内には馮之木大明神という狸を祀った末社がある。信太森葛葉稲荷神社は安倍晴明の母・白狐が住んでいたと伝えられる。

小女郎狸の石像
愛媛県新居浜市滝の宮町
県道136号線沿い・菓子処垂水味好堂斜め前