東京都墨田区にある真言宗智山派の多門寺

珍しい茅葺きの
山門は1800年前後に造られ、区内最古の現存建造物で墨田区指定文化財になっています。

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多門寺には狸にまつわる伝承があります。

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狸塚のいわれ

むかし、江戸幕府が開かれる少し前、今の多聞寺のあたりは隅田川の河原の中で草木が生い茂るとても寂しいところでした。大きな池があり、そこにはひとたび見るだけで気を失い、何か月も寝込んでしまうという毒蛇がひそんでいました。また、「牛松」と呼ばれるおとなが五人でかかえるほどの松の大木がありました。この松の根元には大きな穴があり、妖怪狸がすみつき人々をたぶらかしていたのです。そこで、鑁海和尚と村人たちは、人も寄りつくことができないような恐ろしいこの場所に、お堂を建てて妖怪たちを追いはらうことにしました。まず、「牛松」を切り倒し、穴をふさぎ、池をうめてしまいました。するとどうでしょう、大地がとどろき、空から土が降ってきたり、いたずらはひどくなるばかりです。ある晩のことでした。和尚さんの夢の中に、天までとどくような大入道があらわれて、

    「おい、ここはわしのものじゃ、さっさと出て行け、さもないと、村人を食ってしまうぞ。」

    と、おどかすのでした。和尚さんはびっくりして、一心にご本尊さまを拝みました。やがて、ご本尊毘沙門天のお使いが現れて妖怪狸に話しました。

    「おまえの悪行は、いつかおまえをほろぼすことになるぞ。」

    次の朝、二匹の狸がお堂の前で死んでいました。これを見つけた和尚さんと村人たちは、狸がかわいそうになりました。そして、切り倒してしまった松や、埋めてしまった池への供養のためにもと塚を築いたのでした。この塚はいつしか「狸塚」と呼ばれるようになりました。

境内にある狸塚

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なかなか年代物の狸の石像と狸と刻まれた石

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手を招いている狸の石像。珍しいタイプ

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いたるところに狸の置物が置いてあります

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草陰から

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3連狸

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くだんの毘沙門堂です。

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たぬきの置物・土鈴・財布に入れる豆狸・お札が寺務所で授与できます

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お札

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この多門寺では大正時代にたぬき会が盛んに行われていたそうです。富田狸通先生著の「たぬきざんまい」では、出席者・欠席者が詳しく書いていて当時の作家さんの状況なども垣間見れて楽しい。

お寺は7時から17時までです

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報復では何も解決しないということを狸が赦しの精神を教えてくれます(‐人‐)

真言宗智山派多聞寺 HP
東京都墨田区墨田5丁目31−13

東武伊勢崎線 鐘ヶ淵駅下車 徒歩約15分
堀切駅下車  徒歩約10分